大人になったと感じるとき

日本では12歳以上、中学生から交通機関において大人の運賃や料金を支払う。このとき「大人になったんだ」と感じることが最初であった。

二十歳の誕生日を迎えたり成人式、入社したりと様々ではあるが概ねこんな感じだと思う。しかしこれらは加齢によるもので「大人」の定義から外れるのではいか?と考える。アダルトチルドレンといわれる成人もいるわけで、彼らを「大人」と一括りにしていいかと思うと違う気がする。

以上のことなどを第三者から自分が見られたときどう思われるかが重要であり、普段の立ち居振る舞いが左右されるのであって、加齢によるものではないと思う。強いて言うなら感情をコントロールできるときが「大人になったと感じるとき」と結論づける。

買って良かった2020

 一年を振り返ると、2020年がまさかこのような状況になるなんて知る由もなかった。本来であれば東京オリンピックが開催され、日本が熱気で盛り上がっていたであろう2020年。現実には行動も制限され収入も大幅にダウンされた生活の中で買って良かったものとはなんだろうかと考える。桜の咲く季節に買ったレトロチックなアイロンを思い出す。水蒸気が噴き出てコードレスのAI機能がついた最新のタイプではなく、水蒸気どころかスチールでコードがついたいかにも時代遅れのタイプ。アイロン台にワイシャツを乗せてシワを伸ばし霧吹きで生地を湿らせる。襟にアイロンを充てる瞬間が緊張する。カフスは糊を吹き付け丸くなるようにアイロンを充てる。他は水が入った霧吹きを使いパタパタと熱を冷ましながら形を作る。出来上がったワイシャツをハンガーで吊るし木製のラックに掛ける。ワイシャツとの真剣勝負を終えて紅茶を飲みながらジャズを聴く。このひとときが心地良い。面倒臭いと思うか拘りを持つかは人それぞれだが面倒臭いと思われることに楽しみを見つけられたら人生に色が付くように思う。買って良かった2020。レトロチックな時代遅れのアイロンである。

 

見られている

デパートのフレグランス専門店からダイレクトメールが送られてきた。Eメールではなく封筒での直筆の手紙。女性とわかる担当者の名が書かれてあった。折角なので仕事帰りに立ち寄る。硝子の瓶を眺めていると男性の店員さんに声を掛けられる。有名コスメメーカーではなく初めて聞くブランドを勧められる。お客様のイメージですとこちらをお勧めしますと言われ少し戸惑う。ビスポークのスーツにカフリンクスストレートチップの靴、、。ビスポークって分かるのか聞いてみるとジャストサイズと切羽、ショルダーから背中にかけてのラインなど細かく説明していた。イタリアのデザイナーの名前、切羽のハネ具合などサルトリア顔負けの知識に驚愕と尊敬した。

肝心のフレグランスは数種類のムエットから香りを嗅ぐ。これからの季節にはシトラスよりもウッディだろうと勝手に思うけど、この選び悩んでいるひとときが至福の時間である。結局冬を連想させる香りを選ぶ。会計と梱包を待っていると女性の店員さんから声を掛けられる。ダイレクトメールの話をすると直ぐに分かったらしいとのこと。顔を覚えるのも商売とは言え半年近くの来店なのによく覚えているもんだとここでも驚愕と尊敬。小生どこにでもいる平凡なサラリーマン。可もなく不可もなく凡人であっても、顔から服装まで細かく見られていたとは驚きである。スマホに夢中になり本来見えるものが見えなくなっている現代においても見ている人は見ている、また見られている。

通勤電車のサラリーマン

 朝の通勤電車。車内に入ると座っている乗客は目を瞑っており、立っている乗客はスマホ片手に画面を睨んだり叩いたりと忙しそう。申し合わせたかのように黒のリュックを背負い艶が消えて餃子のようにシワがたくさん入った疲れた革靴。ターミナル駅でドアが開くとゾロゾロ降りる通勤客。スーツやシャツのショルダーはリュックの重さで潰れていたりシワになったりと無惨な姿に。エレガントにはほど遠いサラリーマンの通勤の様子。お洒落とかではなく身だしなみに無頓着とも思える通勤の服装に溜め息を吐くか伸び代があると見るかは預かり知らぬこと。家を一歩でも外に出れば人目に晒される。人様を見て「あの人性格良いよね。なんだか性格悪そう。」そんなことはわからない。でも「あの人かっこいい服着てるよね。お洒落な装いだね。」など他人へのアプローチは見た目から入って話をして性格をがわかるもの。きちんとした身なりは自分自身を知ってもらう最初の発信で、家に例えるならエントランスなんだよと、いつもの通勤電車で思うのである。

コロナの状況下で思ったこと

 一年前の今頃、まさか世の中がこんなことになっていようとは知る由もなく、生活環境が悪い方へと傾いてしまった。主に収入が減となりこれから明るい未来どころか現状維持も厳しくなると想像できる。人間関係もどことなくギクシャクして些細なことでも目くじら立てる輩も増えたように思う。誰しも不安がある中で生きて行くためのガス抜きは必要だが、もっと違うところで発散してもらいたい。今まで旅行やちょっと遠出で温泉、食事を楽しんでいた方々は近所やアンテナショップ、イベントなどの参加で新たな発見をされる良い機会ができたと前向きに行動してみてはと思う。健康あっての明るい未来は、「おいしくもりもり」から始めてみては?